停電前に注意すること
仕事を開始して避けては通れない停電作業について話します。契約書や保安規程に年に1回以上停電させて点検を行うことになっている需要家がほとんどだと思います。電気管理技術者として保安規程に則り年次点検を実施しますが必ず停電を伴うと発生する問題があります。典型的な問題として機器の故障が挙げられます。停電前に様々な対応をしておかないと復電後にお客様と揉めることになりますので注意が必要です。基本的な注意点を話していますので参考にしていただきお客様と長く付き合えるよう対策してください。
停電前に注意すること(具体例)
警備会社
停電前に停電することを警備会社に連絡しておきましょう。忘れてしまうと現場に駆けつけてきて後から対応費用を請求されることがあります。
サーバー・パソコン
サーバーやパソコンはデータが飛んでしまう可能性があります。必ず正常なシャットダウン作業を行ってから停電作業を行いましょう。
エレベータ
マンションなどの年次点検では居住者が停電作業時にエレベータに乗ってしまうことがあります。万が一閉じ込められると大問題になりますので処置をしてから停電させてください。
非常用発電設備
非常用発電装置は停電を感知すると始動してしまいます。起動試験などを行ったら手動や試験にして起動しないよう名処置をしてやりましょう。
照明
年次点検をするときは屋内は暗くなります。必要な照明を確保してスタートしましょう。バッテリーの確認や必要個数などは事前に多めに準備して開始しましょう。
ポンプ(水)
水中ポンプは水が空になると焼損します。水槽タイプの貯水槽など水が空にならないよう注意しましょう。
客(入居者)
病院や福祉施設などは入居者がいます。停電中にクレームや医療器具などが止まって問題が起こる可能性があるので施設担当者と綿密な調整を行ってから停電させてください。
鍵
電子錠は停電すると鍵がかかって通れなくなる場合があります。停電する前に通れるように処置をしてから停電させてください。
冷蔵庫
停電中に冷蔵庫の中の食料品が傷んでしまう可能性があります。停電前に空にしてもらうか何らかの処置をしてもらってから停電してください。終わった後は冷蔵庫が動作しているか確認する必要があります。
電話交換機
停電作業で一番壊れやすい機器は電話交換機です。年数が経つと基板が壊れやすい設計になっているようです。お客様には必ず壊れる可能性を伝え、了承をもらってから停電作業を行ってください。
事前の説明と承諾
日本の裁判制度
停電作業後に機器等が壊れてしまいお客様から訴えられてしまう可能性があります。正規の手順で停電作業を行い状況的に経年劣化で機器が壊れた可能性が高いとしてもお客様が納得できず訴えてしまうこともあります。電気管理技術者としては納得はできませんが対応するしかありません。裁判となればお客様も裁判費用がかかり、技術者も弁護士費用がかかるのでお互いに損をする裁判になるのですが裁判をするしないはお客様の考え方次第となります。最悪の状況にならないためにも事前の説明と承諾をいただいてから停電作業を行いましょう。
損害賠償保険
自分が手順ミスを行って設備を壊してしまった場合には、お客様に誠心誠意謝って損害賠償保険を使用して修理することになります。損害賠償保険の適用条件としては技術者が壊した証明が必要になります。経年劣化で壊れた場合には保険は適用になりません。中途半端な報告書では保険会社から否認されることもありますので写真などの根拠を確保して保険会社へ報告するようにしてください。