一番難しいのは契約先を確保することですが、最終的に必要とされる能力を一言で表すならば営業力です。営業力という言葉は全てを包括しすぎていて具体的にどんなスキルなのか分かりづらいので今回はその内容の一部を話したいと思います。前回の話は↓から確認できます。
電気管理技術者の営業
契約先の探し方
実務経歴証明書を作成するのが第1のハードルならば、契約先を見つけるのが第2のハードルと言えます。電気管理技術者は会社員のように誰かから仕事を与えられることはないので自分で契約先を見つけなければいけません。立場や状況によって契約難易度は変わってくるので簡単に契約できる人もいれば、何年たっても契約が見つからない人もいます。大きなくくりで言えば営業力の差とタイミングで決まります。タイミングは計れるものではないので、営業力をつけて契約できるタイミングを待ってください。
1件目申請
実務経歴証明書に社長等の押印をもらえれば、電気管理技術者になる準備が整ってきたといえます。電気管理技術者になるにはあと一歩です。最初に契約するお客様を確約させ、必要な計測器やその他点検に必要な道具を一式そろえたら産業保安監督部に申請を出して電気管理技術者として認めてもらいましょう。
よくある契約パターン5選
先輩技術者からの紹介
電気管理技術者になるとき通常であれば電気管理技術者協会に所属することになると思います。その協会内で引退に合わせて紹介してもらう場合や仕事を減らしたいという理由で紹介してもらえたら軌道に乗りやすいと言われています。電気管理技術者になって個人事業主となり個人で動くことが増えますが、その自由な状態で自分勝手に誰とも話さなければいつまでたっても紹介はもらえません。上手くいっている電気管理技術者の共通点は人づきあいの良い人、悪く言えば人ったらしの人が多いのが長く業界を見てきた感想です。
工事業者からの紹介
電気工事業者はキュービクルを設置した際に設置者に電気管理技術者を紹介してくれる場合があります。そのとき優先的に紹介してくれるのは仲の良い電気管理技術者や電気工事を紹介してくれた電気管理技術者です。お互いに良い関係を日頃から作っておけばお互いにメリットのある関係になれます。
広告宣伝による問い合わせからの契約
電気管理技術者は大企業のような大資本がないのでテレビCMなどの効果が確実にあるような媒体への広告は出せないことのほうが多いです。そんな中誰にでもできる広告はブログなどのホームページ制作とSNSによる拡散が重要になります。点検を注文する側も自分の知らない土地で業者を探すとなるとWEB検索で探すことが一般的になってきています。そんなときホームページ経由で見積もりの依頼が来ることがあるので簡単でもよいのでホームページを作っておきましょう。
他社点検中の事業所に飛び込み営業
高圧引き込みの事業所は引き込み口にPASがあることが主流で外部からわかります。そんな事業所を見つけた場合は連絡先を調べてアポイントを取ったうえで訪問し営業活動をするのもありです。しかしこの方法は営業をかけられた事業所側から迷惑だと叱られる可能性も高い方法ですので、やるとしてもよく考えて実行してください。テレアポや営業のロールプレイングをしたことない人であればやらないほうが賢明だと思われます。
一般競争入札
官公庁は年1回一般競争入札を行います。各市町村によってやり方は違いますが、入札参加資格を取得した人だけが参加できる一般競争入札に参加して条件が合えば契約することができます。入札参加資格の条件も市町村によって違い1・2年以上の実績が必要な場合や所在市町村に在住していることが条件の場合などもあります。各市町村の条件をホームページ等で調べて参加してください。
お客様からの紹介
点検している契約先が新規物件を建設した場合
点検を担当しているお客様から新たに建物を建てるからその点検を担当してほしいと相談されることがあります。お客様から信頼されての見積もりの依頼なので慎重に対応して契約するようにしてください。
点検している契約先のほかの事業所も任される場合
点検を担当しているお客様も複数の事業所を所有している場合があります。現在担当している事業所以外の事業所は他法人などライバル企業が点検を実施している場合があり、契約が切れるときや何らかの問題が発生したときに相談を受けることがあります。これは今までの点検が認められ信頼されての見積もりの依頼なので慎重に対応して契約するようにしましょう。
点検している契約先の取引業者を紹介してもらう場合
点検を担当しているお客様から契約先や仲の良い社長等を紹介してもらうことが可能な場合もあります。点検の中で仲良くなり信頼を勝ち取り、一言「点検できる会社をご紹介いただけないでしょうか」と言えれば紹介してもらえるかもしれません。
管理会社等からの依頼
不動産管理会社がみなし設置者となり契約する場合
不動産管理会社などは施設管理を一括受注してビル管や消防、エレベーターなどをお抱えの業者に依頼することがよくあります。その中で電気保安管理を電気管理技術者に依頼してくれる場合があるので、知り合って仲良くなるチャンスがあれば他の不動産の点検を任される可能性が高まりますので仲良くなっておきましょう。
電気保安法人等から契約を依頼される場合
保安法人の中には電力監視装置や絶縁監視装置を営業マンが契約し、電気保安管理に関しては地元の電気管理技術者に依頼してくる保安法人があります。中抜きされるため契約金額は安くなりがちですが交渉次第では妥当な金額まで上げられる場合もあるのでしっかり話し合って安すぎる場合は断るようにしましょう。
年次点検の応援などの仕事
年次点検・竣工検査応援
電気管理技術者協会などに所属すると仲間内で年次点検や竣工検査の応援依頼を受けることがあります。継電器試験がテキパキとできる若者や難しい試験も難なくこなすベテランなどは呼ばれやすいので常日頃から技術力を高めて呼んでもらえるように努力しましょう。
スポット年次点検・試験業務の依頼
選任の電気主任技術者がいる事業所で年次点検や竣工検査などの試験業務を外注する会社もあります。これは選任の電気主任技術者はいるものの試験の仕方がわからない場合や規模が大きすぎて自分達だけでは対応しきれない場合があるので外注してるようです。契約をする場合は試験内容や規模、人数などを勘案して金額を算出するようにしてください。
契約が増えてきたら、さらにレベルアップを目指そう
運よく契約先が見つかり仕事が軌道に乗ってきたならばレベルアップを目指してさらに勉強しましょう。