電気料金の節約
電気料金が気になっている人のために記録します。電気料金を節約するためにやれることは限られており、あとはやるかやらないかの違いで毎月の電気料金の請求は変わります。電力会社の電気代が高いと文句を言っている人ほどやれることをやっておらず、省エネを謳う電力監視装置を販売してくるセールスマンに騙されやすいと感じています。
無駄な装置を買わされる前に出来ることをやっていきましょう。
1 電気代を節約できる企業は売上げ右肩上がりで電気代を節約している場合じゃない企業
2 電気代を節約しだすのは売上げが厳しく経費を抑えたいと思っている企業
3 電気代を節約しても従業員への見返りが無ければ一時しのぎにしかならない
電気料金の仕組み
高圧で電気を受電している企業は電気料金の仕組みを理解する必要があります。
電気代は、基本料金+使用料金で大まかな金額が決まります。低圧であればブレーカの容量で基本料金は一定ですが、高圧の場合過去一年間で一番多く電気を使用したピーク時の電力値を決められた金額でかけたものが基本料金となります。
一方使用料金は、使用した分だけ金額が上がっていく仕組みです。
電気代を節約したい場合どちらか若しくは両方を削減する必要があります。
電気料金を節約するときにすること7選
節約できることを結論から言うと、
1 採光・風・雨を利用する(太陽や気候を利用し、そもそも電気を使わない)
2 つけっぱなしを無くす(こまめなスイッチOFF)
3 同時使用を減らす(使用時間をずらす)
4 運用を変える(工程を見直して電気使用時間を減らす)
5 断熱(使った電気を保存する)
6 設備を変える(省エネ機器にする)
7 電力の購入先を変える(割引率の良い電力会社への移行)
の7通りがあります。
この7通りの施策を1番から順番に検討していき電気設備の配置、使用時間、従業員の人数、従業員の動き方を決定していく必要があります。
当たり前のことですが、電気設備の配置が離れれば離れるほど使用する電気ケーブルも多くなり設備投資時点で損します。運用が開始されても従業員の移動時間、勤務時間が増え人件費もかさみます。さらに従業員からしてみれば遠く離れている機械を行ったり来たりするのはめんどくさいので電気をつけっぱなしにしたり使用していない機械も止めずにほったらかしになる可能性が高くなります。暖房も違う部屋とを行ったり来たりすれば、二部屋分の暖房費がかかります。
このように設計段階から電気設備をどのように運用するかを決めていない場合は電気代削減は極めて難しくなります。つまり、最初からしっかり電気使用の設計をしていればデマンド監視装置等の省エネ機器を付ける必要などないのです。
電気料金が上がるとき
電気使用の設計が狂うことがあります。それは「電気設備の増設」です。
業績が好調となり新たに設備を導入する場合、スペースがないので新たな工場を作り設備を搬入したり、今ある設備のパワーを上げて使用したりすると、今まで最適だったデマンドが急に上がったり配置が離れてしまうので電力使用量が増えたりします。
こういったことは、業績良好の右肩上がりの企業に起こりがちです。とにかく商品が売れるため機械と人をフル稼働して商品を作れば売り上げが上がり儲かっていきます。そのような企業が電気代の削減を始めると機械と人の動きが止まります。せっかく売り上げ好調なのにデマンドを気にしての操業となってしまうと勿体ないのです。
逆に売り上げが不調となり従業員が余っているような企業の場合、経営者は電気代を削減しようと必死になります。設備を減設してみたり、今まで機械にやらせていたことを従業員に手作業でやらせてみたり、従業員に対してストレスがかかるくらいまでスイッチのOFFや暖房の温度を下げたりします。この場合、従業員は上司の命令なので電気代の削減を行うのですが、上司の目が離れたときには仕事をさぼりがちになり、最悪退職してしまう場合もあります。そして最悪なのは、売り上げが不調なため最初から電気使用が減っているので、いくらスイッチをOFFにしても電気代削減効果が低いのです。これは、電気設備が小さければ小さいほど削減できません。
本当の削減とは
長期的に電気代を削減するために必要な事は、従業員が意識しないでも無駄遣いをしないようなシステムを経営者が設計し電気設備を配置することです。デマンド装置を使用した電気代削減はとても非効率です。一時的な電気代の削減は可能ですが、本当に必要な削減が見つけづらくなります。
電気代の削減をしても従業員への見返りがほんのちょっとしか無い場合電気代の削減は失敗します。なぜなら電気代の削減は従業員にとっての職場環境の悪化でしかないからです。
ただ単に電気代が下がれば良いだと上手くいきません。商売をするために本来電気は使わなければならないものです。適正な電気の使い方を把握していない限り単なる一時しのぎの削減となりすぐに元通りになります。
長期的に、いかにして従業員に大量の電気を使わせるかが重要になります。大量の電気を使えば使うほど利益が出て従業員に還元できるようにすることが唯一の電気代削減となります。無駄な電気は使わない方が良いという考えは、何が無駄なのかを設計段階から見直さない限り判らないので、安易に無駄な電気と言わない方が良いです。
ページトップの写真は、仙台市の定禅寺通りのライトアップです。人によっては素晴らしい電気の使い方に見え、経済的な観点からすれば人が集まり経済効果を生み、人によっては感動する人もいます。しかし、人によっては木を傷つけ、無駄な電気を使う環境破壊だと訴える人もいます。
消せば省エネですが、本当の省エネと言えるのでしょうか。人によって意見が分かれるところなので答えはありませんが、企業の電気代の削減も同じように従業員に暖かい暖房で快適に仕事をしてもらうことは良いことなのか、電気代の無駄なのかはその経営者の資質によるところが大きいと思います。今まで見てきた経営者で後者の考え方をしている企業は業績を悪化させているように感じています。