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【電験3種】地頭が悪いくせに電験三種に受かった件【入門】

技術者探訪記

電気主任技術者であり電気管理技術者でもある永見電気管理事務所代表の永見泰久、高校や大学時代には勉強に一生懸命打ち込むような勤勉な人間ではなく、どちらかといえば自分が好きなことに一直線に向かっていくような人間でした。高校時代はバドミントン部に所属し、インターハイを目指して夜10時頃までほぼ毎日練習をするようなスポーツバカでした。そんな時出会った電気主任技術者という資格に興味を惹かれ、その魅力とブラックホールのような沼に嵌ってしまったがゆえに電気管理技術者という道を選ぶことになりました。そんな私が辿ってきた道を大雑把ですが紹介したいと思います。

今回の内容を大雑把にまとめると

・ 全部覚えるのは無理だとあきらめの境地からのスタート

・ 過去問をジャンルごと出題形式ごとに分類してみる

・ 解きやすい記憶問題を落とさないことが重要とのこと

目次

電気主任技術者との出会い

小学校中学校と勉強もせず部活やゲームに明け暮れ、入れる高校を探したら田舎の工業高校が精いっぱいだった私が電験三種を受けたのは工業高校3年の夏の終わりでした。

 工業高校の電気科に縁あって入学し、中学生までとは打って変わって偏差値同レベルの同級生とのんびりした学生生活を送っていました。楽しい工業高校生活を謳歌していた私ですが、3年生の春に専門教科の先生から電験三種を受けてみないかと誘われたのが電験との出会いでした。

 同級生5人と電験二種を受けるつもりの先生が夏休みの空き教室で電験の過去問を一つ一つと解いていきながら、互いに解らない問題を聞きあいながら勉強したのは今でも良い思い出となっています。

電気主任技術者の勉強法

電気主任技術者最初の受験

 工業高校の生徒として電験受験のネックとなったのは、数学力でした。工業高校では数学を難しいところまで勉強しません。その為、簡単なオームの法則やキルヒホッフの法則などは解けても微分積分が入るような問題は見た瞬間にあきらめることになります。

 とにかく解ける問題、納得できる問題だけ確実に得点する、これが地頭の悪い私のとれた戦略でした。難しい問題を1から勉強するのを避け、理解できる計算問題、問題そのものを暗記すれば解ける問題を中心に徹底的に過去問を解いていきました。

 本来しっかりと電気の勉強をしたいのであれば、数学の公式を1から覚え、それを電気理論に応用していくことが本道だと思います。ですが、時間のない中、期限がある中で結果が求められた場合その手法は逆に点数を下げてしまう悪手だと考えました。

 受験地が遠かった私たちは、先生と五人の同級生とで小さな旅館に一泊し、修学旅行気分で受験に行った記憶があります。

 残念ながら受かったのは理論と機械のみの科目合格となってしまいました。あと電力と法規を受かれば合格なので当時は自分としては満足な結果でした。

 この経験から学んだものは、地頭の悪い人間が未知の課題を解決したいと思ったら、

1 地頭の良い人間のそばに行き学ぶか盗むかをすること(解説が上手な先生等)

2 課題を徹底的に分析し、自分の学力や経験で解ける問題を判別し、解ける問題だけ徹底的に解く

 という解決法でした。

追い詰められての再受験

 その後、工業高校を卒業し電験に執着の無かった私は翌年も翌々年も受験せず、科目合格をどぶに捨ててしまったわけですが、後に後悔することになります。

 時が過ぎ、電験受験をしていなかった私が再度受験するきっかけとなったのは、就職氷河期で就職が厳しい状況に追い込まれていったことです。工業高校出身なので2種電工や危険物やボイラーなど簡単な資格は高校時代に取っていたのですが、この資格ではどこへ行っても給料は安く、資格で採用してくれるような会社はほぼない状態でした。

 再就職をするために電験を受験することにしました。

書店で久々に手に取った「これだけシリーズ」を一読し、普通に勉強していたら受かるのは3年以上先の話になるなと直感的に感じ、月収10万円台の施設職になるしかないのかなと絶望し、高校時代科目合格をどぶに捨てたことを後悔しました。

 高校の時は教えてくれる先生や同級生がいたのですが、その時は電験を受けようとする人も周りにいなく一人で独学しなければならない状況です。どうするか考えた結果、高校時代に学んだ、徹底的に問題を分析して出題率の高い問題だけを解こうと考えました。

やったことは、

1 過去10年間の過去問からジャンルごと出題形式ごとに分類し出題率を算出

2 自分の得意分野、納得理解できる問題を抽出し重点的に勉強

3 不得意分野はとにかく記憶問題に絞ってとにかく暗記

でした。

結果、ギリギリ合格することができました。

電気主任技術者に合格してから

 小さな成功体験ですが、社会人になってからの仕事も同じやり方で乗り越えてきているような気がします。解らないことがあったら解っている人のやり方を徹底的に盗み新しいこと役に立つことを覚え、今ある自分の知識と経験をフルに使い日銭を稼いでいく。という繰り返しなような気がします。

 社会人になってから難しく感じているのは、地頭の良い人のそばに行き学ぶ盗むというところが難しいと感じます。学歴もなく普通の企業に就職した場合、学生時代に比べると制約が増え環境が悪化していることが多いように思います。

 社会人になって勉強している人は、経営者や研究者など上流階級の世界にいるので周りにはほとんどいません。上司や同僚は毎月入ってくる給料で生活するのが精いっぱいで、少ないおこずかいで何して遊ぼうかくらいしか考えていない人がほとんどです。

 電験は、こんな就職氷河期で彷徨っていた私を事務所を構えることが出来るところまで連れてきてくれました。小中高大としっかり勉強し高学歴となれた人には電験はたいして必要なものでもないかもしれませんが、小中高で出遅れた人間にとっては敗者復活戦のような素晴らしい資格です。今、電気主任技術者、電気管理技術者が圧倒的に不足してきています。制度がいつまで続くかは判りませんが、興味のある工業高校生、電気職で働いている方々はぜひ電験三種を取得し、将来事務所を構えてみてはいかがでしょうか。

電気主任技術者から電気管理技術者へ

電気主任技術者になってから周りから認められるかというと実際は何も変わりません。自分では高い壁を一つ乗り越えて成長したつもりになっていますが、周りの人から見ればマイナー資格を取得したらしい普通の従業員の扱いをされます。それと同時に会社からは電気主任技術者の資格を取得したんだから電気ならすべてできて当たり前、事故が起きたらお前のせいだみたいな目で見られることになります。納得はできませんが、選任の電気主任技術者達が同じような状況に陥り転職を考えて動いているのは事実です。どうか落ち込まないでください。

私も同じように電気主任技術者を取得してから選任の電気主任技術者となったのですが、もちろん立場が上がることはありませんでした。電気的にこうしたほうが良いという意見は何十人といる上司たちによってかき消され、その結果事故が起きたらお前のせいだ何とかしろと言われたのは1回や2回ではありません。そこで転職を考え行動し見つけたのが電気保安法人への転職でした。電気管理技術者として独立することも考え北海道電気管理技術者協会へ問い合わせてみたりもしましたが、たまたま電気保安法人にOBがいてこれも何かの縁だと思い転職しました。これが私にとって吉と出ました。たまたま就職した電気保安法人でしたが初めに所属した営業所に人づきあいの下手なSさんという電気マニアがいて何を聞いても納得できる答えをくれる良い先輩がいたのです。この先輩から外部委託の電気保安業務について徹底的に習うことができたので電気管理技術者として独立した後も自信をもって仕事ができています。感謝してもしきれません。

良い先輩や同僚に恵まれましたが、そんな中、5年で4回転勤の打診をされるという訳の分からない状況となり妻と話し合った結果独立することにしました。電気保安法人であったことは話せば面白い話ばかりで鉄板ネタが沢山ありますが、公共の場で話すと訴えられる危険性が高いので知りたい人は個人的に話します。

そして永見電気管理事務所として独立し現在に至ります。ここでも良い先輩との出会いがあり事務所もすぐに軌道にのることができました。良い出会いがあると良い方向に進み、出会いがないと現状維持もしくは下降していくのだとしみじみ感じております。今後もよい出会いを求めて自己研鑽に励み誰かの助けとなるよう活動していきたいと思います。

 もしも電気管理技術者になりたい人がいれば相談には乗れると思います。メールにてご連絡ください。

一般社団法人北海道電気管理技術者協会ホームページへ
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